テレワークで年間240万賃料削減!賃貸事務所をコンパクトに

テレワークで年間240万賃料削減!

私の勤めるWeb制作会社では、2018年のテレワーク導入に伴い事務所も引っ越しました。一番の目的はもちろん会社の賃料削減。引っ越し費用と手間はかかるものの、賃料が下がるとなると額にもよりますが長期的にみてかなりプラスになります。

今回は、事務所の引越しで賃料を240万円削減した内容を、会社の内情も含めてご紹介します。

目次

小規模企業なのに賃貸事務所が2つあった理由

私の勤める会社は2008年創業で私は創業メンバーとして参加しています。ここに転職する前は、私は中規模企業に勤めていたのですが、その会社の当時のWeb広告の事業部長が独立して起業するとのことで、その方についていく形で、合計4名でスピンアウトしたのです。

創業当時は新しい会社として売り上げの実績もないため、通常の事務所を借りることが難しく、最初は賃料15万円ほどの東京都内マンションの一室を借りて事務所代わりに使っていました。マンションで2年ほどしてある程度の売り上げ実績ができて、やっと賃貸事務所の審査が通り、普通の会社らしい場所に移転することができました。

社員の増員もしつつ会社規模を大きくしようという方針のもと、2008年から2016年までに約2年ごとに都内で事務所の引越しを繰り返し、次第に大きな賃貸事務所にしていきました。最初のマンションが10畳くらいとすると、20畳、40畳、100畳という感じで広くなっていきました。一番大きな事務所は都内で賃料70万円ほどのところ。50人くらいは余裕で働けるスペースの事務所でした。しかし、事業拡大を目指して採用してもやめていく方も多く、社員の数は最大でも12名ほどで、その数がなかなか増やすことができませんでした。社員が増えない大きな理由は、社員同士の中の悪さです。

もともとの創業メンバー同士はそこまで仲が悪いわけではなかったのですが、後から入社してきた社長の知り合いの方と、創業メンバーの一人が、いわゆる犬猿の仲になってしまったのです。原因となる大きな出来事があったわけでは無いようですが、性格が合わなさすぎてそのようになってしまったようでした。その二人は営業成績がいいため、役職も与えられていましたが仲が悪いために、周りが気を使うようになり、そのギスギスした雰囲気が嫌で社員が辞めることもありました。退職理由はギスギスした雰囲気だけでは無いかもしれませんが、社員が入っては減りを繰り返しました。

社長も仲が悪いはよく知っていましたが、営業としては2人とも素晴らしい成績を上げているためか、2人の関係についてはあまり口出しすることもなかったです。でもこのままでは、社内の雰囲気も悪いままで他の社員にとってもいいことはありません。

そこで社長が考えた解決方法は、「事務所を2つに分ける」という方法でした。そんな理由で、社員10名ほどの会社が5人づつに分かれて、2箇所の事務所に引っ越したのです。

これが小規模会社なのに事務所が2つあった理由です。

事務所が2つあると固定費も2倍

事務所が2つになると、賃料は広い事務所(賃料約50万円)の時の半分以下の広さのところを選び、それぞれ賃料25万円と20万円くらい合計は広いところより少し低くなりました。しかし、複合機や電話をそれぞれの事務所で揃えることになるので、固定費は倍になります。総務の私としても、2つの事務所の管理をしなければならないので、業務は煩雑になりました。

「これってどうなの?」と思いながらも、小さな会社の社長の言うことを覆すこともできずに淡々業務をこなしました。分かれた社員同士も複雑な心境を吐露。「別の事務所にいる社員と仲良くしてはいけない雰囲気になってしまった。」

気分が晴れないなか、2年ほど経ったある日、社長が社員全員を一方の事務所に指定日に集まるよう支持がありました。久しぶりの集合です。それまで、忘年会や新年会もバラバラに行っていたくらいでしたので、同僚みんなで「何ごと?」と戸惑いを隠せない様子でした。

会議の場で発表されたのが「全員、テレワークにする!」だったのです。

テレワークとは?

テレワークとは、バーチャル勤労形態の一種で、パソコンやインターネットを利用して時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態のことです。「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語です。

テレワークで働くことで、仕事満足度の増加、離職率の低下、ストレスや欠勤の減少、生産性の向上、オフィス維持費や通勤手当をはじめとする事業コストの削減、ワークライフ・バランスの実現といった点からも様々な効果が期待されるようになっています。今や世界中でテレワークが強力に促進され、日本も例外ではなくっています。

テレワーク導入で事務所解約

社員同士の不仲を解決する策として2つの事務所を借り、2年ほど経過していたのですが、経費は引越し前とさほど変わらず、業務の煩雑さが目立つ日々。経費も以前と比べて、賃料は減ったものの、固定費は上昇し、トータルでは以前と変わらない額となっていました。

そんななか、社長が全社員を集めて「テレワークを導入する」と言った時は、私にとっては本当に衝撃でした。その他の社員も誰も想像していなかったようで、「え?」という感じでさらに戸惑いを隠せない様子でした。

なんでも、「2つの事務所をもつと、固定費が思った以上にかる。経費削減のためにテレワークを導入して、2つの事務所を解約して1つの事務所に借り換える。」とのこと。私の心の中では「2つの事務所を借りると固定費が多くなることは簡単に想像できましたよね?私の苦労は除外ですか?」と突っ込みつつ、社長がどんどん話を進めるのに耳を傾けるしかありません。

結局、私はその場でテレワーク導入の推進役に指名され、合わせて2つの事務所に退去手続きや引越しの手配まで行うことになったのです。

事務所引越しで賃料年間240万円削減

2つの事務所を1つにするということですが、「もっと安い事務所にしたい」という社長の意向で2つとも退去することになりました。さらに、「ついでに社名も変える」と言われた時にはさらに驚愕でした。でも、私は社員なので社長に物申すこともなく言われた通りにやりましたよ。

物件探しだけは社長がやってくれるというので、そこはお任せして、私はその他の手続きを進めていました。

しかし、また驚愕したのは社長が決めてきた物件。今借りている2つの事務所のうちの1箇所の事務所とほとんど変わらない賃料25万円の事務所だったこと。広さもほとんど同じ。なんでも社長曰く「やっぱり安いところは、物件が気に入らなかったから。でもせっかくだから新しいところに引越しはする。」とのこと。私は「もう、このまま事務所を1箇所解約しないほうがいいじゃん!」と心の中で叫びながらも、社長に物申すこともなく言われた通りにやりましたよ。

そんなわけで、テレワークを導入することにより、一応、賃料は削減することに成功しました。賃料合計45万円から25万円ほどになり、約20万円の削減です。年間にすると約240万円これが長期的に考えると随分と経費削減となります。

無事引っ越しが完了し、テレワークを導入して3年経った現在、社長は「もう事務所もいらないかな?シャアオフィスとかにしちゃっていい?」と言ってきています。「事務所がなくても仕事が回るように考えて」とのこと。現在はクラウド請求などができるサービスや複合機の代替方法を探し始め、事務所を使っている社員の意見を取りまとめている最中です。

今の事務所からシャアオフィスに変えるとなると、シェアオフィスは月々1万円代から借りることもできるので、実現すればさらに賃料の削減になるのですが。。。実務的に可能かどうかを模索中です。私は心の中で「もう、事務所は社長の自宅でよくない?」と思いながらも社員なので言われたことをこなすつもりです。

テレワーク導入で私の勤める会社は年間約240万円の賃料削減に成功しました。今後もさらに事務所を縮小する予定で賃料削減をねらっています。ただ、テレワーク導入により、新たに契約しなければならないクラウドサービスなどがありますが、いまのところ毎月20万円よりは抑えることができています。

事務所を縮小すると社員の心が離れる問題

事務所は一体どのくらいまで縮小できるのでしょうか。現在、私の勤める会社は22坪(72.7平方メートル)の広さの賃貸事務所です。11人分のデスクと、小さな6人掛けの会議室を確保できるほどの広さです。トイレと給湯室、エントランスも個別に付いてます。この事務所を解約してさらに狭い事務所にしようと検討を進めているところです。シェアオフィスか、ワンルームほどの小さな事務所が候補です。それらの事務所では、全社員が座る場所がないため、出社して勤務することは不可能です。経営者としては、全社員が出勤をしない体制にする判断です。社内ネットワークのみで利用していた売り上げ管理や請求書作成ソフトもクラウドサービスに順次移行する手続きを進めています。

ただ、問題となるのが、社員のエンゲージメントをいかに高めるかという問題です。

※エンゲージメントは「職場(企業・団体)と従業員の関係性」や「自社と顧客との関係性」を表す際に用いられます。

出社していた頃は、顔をあわせることで自分たちの会社はどういう会社であるか肌で感じ理解できます。周囲の状況変化に合わせて業務の流れもスムーズいくこともしばしば。しかし、出社しないで同じ空間を共有することが一切なくなると、一体感が失われてしまします。社員にとって会社に対する帰属意識も低くなります。実際にテレワークする期間が長くなると、チームで仕事はしているのですが、自宅で仕事をしていると個人プレーをしているような意識に陥ることがあります。私の同僚の場合、業務委託の方が気が楽になるということで、「個人で独立を考えている」という人もでてきました。もし新人なら離職も容易にできてしまうのではないでしょうか。例えば、これが夫婦である場合、離れて暮らせるなら別れてしまっても問題がないと考えるのと同じような気がします。

テレワークで働くということは、「社員の独立心も芽生える」「転職を検討しやすい心理状態になる」ということを経営者は意識すべきです。放置すると社員の心が会社から離れていく一方かもしれません。定期的に勤務時間を使ってでも社員を集めて、仕事以外の対話する場(事務所や宴会場)を提供することも重要だと思います。

社員のエンゲージメントをいかに高めるか、そのためにオフィス機能を交流の場として活用できないかは、経営者が考えるべき重要なテーマといえます。

固定費が削減できるからという理由だけでテレワークを継続する(させる)のは、社員の気持ちに寄り添っているとは言い難いです。事務所を移転して年間240万円削減はできましたが、社員と経営者が向き合う機会、社員同士が交流する機会の確保も忘れてはならないと思います。

この記事を読んでいらっしゃる方の会社でも参考になることがあれば嬉しいです。

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この記事を書いた人

東京港区で3人の子育てをするママ。長男を3歳からくもんに通わせ、当時は教育ママ。3人目からはゆるーいママとして子供たちを育てています。12歳(長男)、6歳(次男)、4歳(長女)の子たちと一緒にママも成長中!

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