私の勤める会社では2018年から約3年間、クラウドオフィスサービスのSococo(ソココ)を利用していました。今回は、3年使ってみてわかったSococoのメリット・デメリットをご紹介します。
クラウドオフィスSococoとは?
クラウドオフィスサービスとは?
クラウドオフィスとは、Web上の仮想空間に構築されたオフィスのことです。複数の人で同時にWeb上の仮想空間オフィスを利用することで、実際のオフィスにいるときのように、あたかも人がいる感覚を得ることができるのが特長です。チャットやビデオ会議ができる機能を備えている事が多く、テレワーク時のコミュニケーションの手段として注目されているサービスです。
クラウドオフィスは正式名称か?
クラウドオフィスとは、Web上のオフィスにアイコンやアバターと呼ばれるカスタマイズ可能なキャラクターを操作して出勤し、人感が感じられるような仮想オフィス空間の事です。バーチャルオフィスとも呼ばれています。しかしバーチャルオフィスは、レンタルオフィスのようなリアルな場所の住所を貸すサービスの意味も含んでいます。
クラウドオフィスは、まだ一般的に広く認知されていない言葉で、その一般名称や定義も企業やメディアによってさまざまです。
日本ではクラウドオフィス、バーチャルオフィス、バーチャル空間、仮想オフィス、と表現されています。
一方アメリカでは、オンラインワークスペース(The online workspace)やオンラインオフィス(The online office)、バーチャルイベントプラットフォーム(an interactive virtual event platform)などと表現されており、一般名称を定めるに至っていないようです。
Sococoの主な利用目的
Sococoの主な利用目的は、社員間のコミュニケーションをスムーズに行うためです。Web上でオフィスの間取り図を描いた空間に、各社員がそれぞれ離れた場所からそれぞれのアイコンを操作します。アイコン同士でチャットやビデオ会議ができ、社員の現状も一目で確認することができます。
Sococoの契約
Sococoの契約は、日本ではテレワークマネジメント株式会社が代理店販売として行なっています。テレワークマネジメント株式会社は、主に企業に対してテレワーク移行のコンサルティングを行なっている会社です。
提供企業:テレワークマネジメント株式会社
会社概要:2008年に日本で設立されたテレワーク専門のコンサルティング会社。代表取締役はシャープ株式会社出身の田澤由利。
サービス開発:他社(アメリカ合衆国テキサス州のSococo, LLC. )
アメリカのサービスなので契約書などは基本的に英語だったのですが、テレワークマネジメントを通すことで日本語に訳した契約書(または英語の側に日本語訳を添えた契約書)もありました。
ツール自体は、設定画面など日本語で書かれています。だたし、全てが日本語ではなく「紹介動画」は英語のみの動画です。
基本的に契約更新やアカウント追加などは、Webで完結はできません。メールのやり取りで依頼し完結します。
契約前は営業の方の訪問を受け、実際にテレワークマネジメントでSococoを運用している様子をノートパソコンで見せてもらいました。
その時は、営業の方が同僚にSococoを使って音声で呼びかけ「顔出しできる方、いらっしゃいますかー?」と声をかけると、6人くらいのテレワークマネジメントの社員の方々が顔を出して「こんにちは」とご挨拶いただきました。
顔を出していただいた方々は、ほとんど女性だったのですが、皆さん自宅で勤務していらっしゃるとのことでした。テレワークマネジメントさんの営業の方も女性、社長も女性でした。
テレワークマネジメント社員の方々自宅は全国に散らばってあり、遠いところですと北海道とおっしゃっていたのが印象的でした。
営業で訪問していただいた際の、こちらの質問にも丁寧に答えていただいた印象で、その方が不明瞭で正確には答えられないことについても、後日メールでまとめて返信いただきました。
Sococoの導入経緯
政府の働き方改革のもと、テレワークが推奨されていた2018年。その年に私の勤めるWeb制作会社の社長が、全社員を集めて「全員、テレワークにするぞ!」と言い、私はテレワーク導入担当となりました。
社長がテレワークにする最大の目的は固定費の削減。Web制作会社の業務内容なら問題なく導入できると考えたようです。しかし、テレワークによる社員同士のコミュニケーション不足を懸念していました。そこで、事前に調べてみつけたサービスがクラウドオフィスサービスSococoでした。
社員を監視しすぎないシステム
テレワーク制度を導入するにあたり、私の勤める会社の社長は、Sococoをぜひ採用したいとの事でした。さっそくSococoを提供するテレワークマネジメント株式会社から資料を取り寄せたのち、テレワークマネジメントの営業の方から対面で説明を受け、Sococoを導入することになりました。
社長曰くSococoなら、社員がしっかり働いているかどうかを監視しすぎる事なく、一目で会議中なのか?休憩中なのか?何をしているのかを確認することができるサービスだとのこと。それから実際に3年くらいSococoのクラウドオフィスサービスを全社員で利用していました。
Sococoを利用することで、私がテレワークで仕事しながら居眠りしそうなときも、目が覚めたことが度々ありました。Sococoのクラウドオフィスを通して同僚から仕事の用事でチャットのお知らせ音が鳴ったり、同僚からの呼びかけがあるのです。社員同士でコミュニケーションをとれるのと同時に、お互いの仕事の監視をしているような感覚です。
Sococoからのメールは英語
Sococoはアメリカ合衆国テキサス州にある企業のサービスですので、Sococoからのメールは全て英語で届きます。利用規約の変更など、重要なお知らせも英語で届きますので、注意深く確認する必要があります。
以前に英語で受けたメールで重要なお知らせは、ビデオ会議の制限でした。それまで制限時間がなかったビデオ会議の機能ですが、メールを受け取った当月から1ユーザーあたり月300分までの利用時間となってしまいました。月の稼働時間が20日とすると1日当たり15分までの利用制限です。300分以上は別途オプション料金が発生するとのこと。
当時、ビデオ会議の機能については毎日頻繁に利用していたため、大変困惑しました。代替案として、Googleハングアウト・Zoom・Webex・TeamsとSococoの連携を行ってテレビ会議を利用すると無料になるとも記載がありました。外部ツールとの提携は一度設定してしまえば簡単に利用できるのかもしれませんが、それぞれのツールを登録して管理するとなると、手間がかかります。まさに改悪の連絡でした。
Sococoは外部と提携するためか、たびたびSococo側の画面操作が変わるので、慣れるのにもひと苦労です。毎日使っている同僚たちも「あれ?Sococoなんか変わった?マイクが入らない。」といってチャットに切り替えていました。
Sococoについてわからない事があれば、日本代理店である株式会社テレワークマネジメントがサポートに入って、問題を解決してくれるそうです。Sococoを操作する設定画面は、日本語の案内でしたので、その点はわかりやすかったです。
そのほかSococoの契約は、日本の代理店を通しても英語の書面(Sococo Team Space申請書)にサインすることがありました。記入方法に間違いがないか慎重になったことを覚えています。
Sococoの使い勝手
Sococoの使い勝手はどうでしょうか。
SococoはアプリをスマートフォンやPCにダウンロードして利用する方法がありましたが、現在はブラウザのみとなっています。実際にアプリをダウンロードしてiPhoneでつかった事がありますが、スマートフォンの画面を閉じるとSococoがログアウトしてしまうので、スマホでの利便性があまりよくありませんでした。なにより、クラウドオフィスの最大の魅力となる、「人感を感じる」という点は、スマートフォンのアプリ内では表現できていませんでした。PC版のアプリはブラウザとほとんど変わらないインターフェイスでした。同僚がPC版のアプリを使っていましたが、なぜか固まって動かない、勝手にログアウトするなど、よくトラブルが起きているようでした。
Sococoはブラウザで使うのが、より快適な印象です。
ブラウザでのSococo操作は簡単です。移動したい部屋にマウスをポイントすれば、そこに移動することができます。各部屋(空間)でチャットや、通話、ビデオ通話、PC画面の共有を行う事が出来ます。
チャットの履歴は、日をまたいでも任意で残すか残さないか選択する事ができるので助かりました。私はチャットの履歴を残したくなかったからです。見られてはいけない内緒話チャットも同僚としていたりするので、うっかり残してしておくと、PCを誰かにのぞきこまれたら大変ですから。
Sococoの価格と契約期間について
Sococoは、年間契約のみで1アカウント毎に月額2,500円(税抜)、年間で30,000円(税抜)でした。最低契約アカウントは10アカウントです。私の知る限り2018年から最近の2021年夏ごろまでは、この価格でした。
しかし、あらためてサイトを確認すると、年間契約の縛りをなくして月契約になっていました。最低契約アカウントは10アカウント以上で変わらないようです。Sococoを3年使ってたのに、契約期間を改定したアナウンスは、代理店から利用者側の私たちには無かったと思います。
現在のSococoの価格と契約条件は以下です。
1ユーザーあたり月額2,500円(税込2,750円)
- 最少契約ユーザー数: 10ユーザー
- 契約単位:月(月払い)
- 最低契約期間:3ヶ月
- 初期費用:なし
- 申込方法:問い合わせ〜書面の取り交わし
- 支払方法:振込のみ
※2021年10月現在
一方、Sococoの運営しているアメリカの会社のサイトで価格を確認すると、10アカウント以上の契約というのは同じですが1アカウント月額13ドル、年間49ドルとかなり安い価格です。英語のできる方が社内にいらっしゃれば、Sococoの英語版で直契約しても良いかもしれませんね。
支払方法はテレワークマネジメントさんで契約すると現金のみでした。請求書がダウンロードできるURLが年に一回、更新の2ヶ月くらい前にメールで送られてきます。請求システムはマネーフォワード クラウド請求書を利用しているようです。解約は1ヶ月前通知でした。
Sococoのオフィススペース
用意されたデザインのみ利用可能。大小、さまざまなデザインが用意されておりいつでも自由にデザインを変更することができます。
デザイン数:231
初めSococoを会社として利用するにあたり、用意されたデザインから選ぶことになります。変更するのはいつでも何度でも自由ですが、変更すると再度部屋の名前などの設定も行わなければならなりません。必然的に、最初に選んだデザインをそのまま3年利用していました。
デザインは100アカウント単位で入場できる大きいものから10人程度入場できる小さいものまであります。
私の勤める会社ではオフィス利用として検討した結果、社長から社長室を設けてほしいという要望もあり「オフィスのように部屋が分かれていて机や椅子があるデザイン」にすることにしました。
各部署の社員からも「部屋数も部署ごとの部屋や部署ごとの休憩スペース、部署ごとの会議室がほしい」という要望がありましたので、部屋が多くあることが必要になりました。
実際のオフィスでは叶えられなかった、「複数の部屋を持つ」ということが、Sococoでは可能になりました。10人ほどの社員数なので社長も、実際のオフィスでは社長室を持ててはいなかったのですが、社長室ができて満足な様子でした。
会議室も、実際のオフィスでは1つしかなかったのですが、Sococo上だと2つ設けることができて、打ち合わせもスムーズになりました。
Sococoのコミュニケーション機能
【チャット機能】
アイコンをワンクリックしてチャットしたい人を指定してチャットできます。
会議室全員と共通チャットも可能。
チャットの履歴を残すか残さないかを個別アカウントで選ぶことができる。
チャットを受けるときの「ヒュイ」という音の大きさを「低」「中」「高」で調整することができ、音も鳴らさないようにも個別設定できる。
チャットで何か書いているときに、書いている人のアイコンの側に「…」というアニメーションがでるので、この人は今、何かメッセージを書いているというのが一目でわかる。
【ミーティング機能】
音声またはカメラをオンにする機能が別々であり、音声のみでミーティングすることができます。
1人のPC画面を共有しながら話すことも可能です。
ただし、ミーティング機能に時間制限を設けており1ヶ月1ユーザーあたり、500分までと決められており、それを超えると追加料金が発生する。ZoomやTaemsと繋いで会話することも可能で、そちらと繋いで会話する分には追加料金は不要となる。これは、以前までなかった制限なので、改悪されて残念に思っている点です。
【部屋に入ったときや誰か入ってきたの音】
区切られた部屋に移ると、「ポコッ」と音がなります。同じ部屋に誰かが入ってきたときも「ポコッ」となって音で知らせてくれます。
この機能は先に会議室に入っているときに、話に夢中になっている場合、誰かが入ってきたら音でわかるので、スムーズに会話を進めることができて、便利です。意外と使えます。
音の大きさはこれも「低」「中」「高」で調整することができ、音も鳴らさないようにも個別設定できます。
3年利用したのちSococoを解約
Sococoを契約して約3年。ほとんどの社員がSococoに慣れ、問題なく利用していました。しかしアルバイトさんの入社を機に、Sococoを見直す事になりました。理由は、いつ辞めるかわからないアルバイトさんの為にSococoのアカウントを年間3万円で作るには高い!という意見があったためです。
Sococoを導入した2018年当時は、Sococoに類似したクラウドオフィスサービスを見つけることはできませんでした。しかし3年たった現在、新たにサービスが生まれているかもしれないとなり、他のSococoに類似したサービスを探しました。すると、複数のクラウドオフィスサービスを見つけることができました。それらを比較し、アルバイトさんや社員の増減があっても柔軟に対応できるサービスも見つけることができたので、3年利用したSococoから別の類似サービスoViceへ乗り換える事にしました。
Sococoの解約は契約更新の1ヶ月前までに代理店へメールを入れて解約をしたい旨伝えるだけです。特別な手続きはありませんでしたが解約理由だけ聞かれました。今回は契約期間は残っていましたが、途中解約で返金などはありません。
Sococoのメリットとデメリット
Sococoを約3年利用して感じたメリットとデメリットをまとめます。
Sococoのメリット
- テレワーク時の社員間コミュニケーションがとりやすい
- 人感を感じることができる
- 社員同士で仕事しているかをソフトに監視できる
- 操作が単純で使いやすい
- 個別設定もそれほど複雑ではない
- 日本人がサポートしてくれる
Sococoのデメリット
- ビデオ通話に制限時間がある
- メールや使い方の動画が全て英語
- 10アカウント以上の契約という条件がある
- 仕様変更や利用規約変更が予告なくされる
- その他の類似サービスと比べると割高
これからクラウドオフィスサービスの導入を検討している方のご参考になればと思います。