テレワークで仕事をするときに、社員同士のコミュニケーション不足が問題となっています。そのコミュニケーション不足の問題は、クラウドオフィスサービスを取り入れる事で解決するかもしれません。
テレワークでコミュニケーション不足が問題に
テレワーク制度を取り入れたけれど、社員同士のコミュニケーションがうまくできずに、通常の会社への出社へ戻している、というニュースを先日テレビで観ました。入社したばかりで、気軽に話しかけられる人がいない、一人で仕事をしていると孤独を感じるなど、テレワーク時のコミュニケーション不足が深刻な問題になっているようです。
たしかに、テレワークする際によく使われるビデオ会議ツールのZoomやTeamsだと、会議の予定をお互いに組んだりしなければならないので、なかなか気軽に話しかける事ができないかもしれません。ちょっと雑談したい時のハードルが高く感じます。
このようなテレワーク中でも会社に出社しているときのように「ちょっと話したい」「ちょっと聞きたい」などの社内のコミュニケーションを活発にする手段として新たなサービス、クラウドオフィスが注目されています。
クラウドオフィスは新しいサービス
クラウドオフィスとは、Web上の仮想空間に構築されたオフィスのことです。複数の人で同時にWeb上の仮想空間オフィスを利用することで、実際のオフィスにいるときのように、あたかも人がいる感覚を得ることができるのが特長です。そのチャットやビデオ会議ができる機能を備えている事が多く、テレワーク時の社内コミュニケーションの手段として注目されているサービスです。
クラウドオフィスサービスを提供する企業は、テレワークの普及と共に世界中で増加傾向にありますが、その一般名称は企業やメディアともにまだ定まっていません。日本ではクラウドオフィスやバーチャルオフィス、バーチャル空間などと呼んでいます。アメリカでは、オンラインワークスペース(The online workspace)やオンラインオフィス(The online office)、バーチャルイベントプラットフォーム(an interactive virtual event platform)などと呼んでいます。
私の勤めるWeb制作会社では2018年からテレワーク制度を導入し、同じ時期にクラウドオフィスサービスも導入しました。クラウドオフィスサービス導入目的は、社内のコミュニケーションを円滑に行う目的と、社員が働いているかどうかを社員同士で監視する目的の2つです。クラウドオフィスサービスを利用してから3年余り経過しますが、今ではテレワークで仕事をするのに、なくてはならない存在です。テレワーク時の孤独感からは解放されますし、居眠りしてしまっても同僚からのチャットや呼びかけで目が覚める事があります。自宅で働いているのに、オフィスで働いている感覚で仕事ができます。
1つ目は初めてクラウドオフィスとして利用したSococo(ソココ)、2つ目は最近から利用し始めたoVice(オヴィス)です。2021年6月にSococoからoViceに乗り換えました。クラウドオフィスのoVice(オヴィス)は2020年8月にサービス提供が開始された、比較的新しいサービスです。
クラウドオフィスの運用ルール作りで雑談しやすく
クラウドオフィスを導入するにあたり、私の勤める会社でクラウドオフィス運用ルールを社内独自で作っています。運用ルールといってもそこまで堅苦しいものではありません。運用ルールを作る事で、テレワーク中の社内コミュニケーションである雑談を活性化し、ストレスを軽減できるという考えからです。
堅苦しいルールにしない事で、相手に話かけて返事がなくても気になりませんし、自分自身も誰かからいつでも話かけられるかもという程よい緊張感も保てます。その緊張感はオフィスにいるときと同じような精神状態です。最近、入社したばかりのアルバイトさんも、問題なくテレワークでクラウドオフィスを利用出来ています。私が積極的に話しかけるようにしていることもあってか、「孤独感を感じていないか」と確認したところ、「問題ない」との返事でした。
クラウドオフィスについて、SococoとoViceを利用経験がありますが、運用ルールはほとんど同じにしています。運用ルールを事前に作っていたからか、クラウドオフィスSococo導入当初は、社員の戸惑いはありましたが大きな混乱はなかったです。SococoからoViceへ乗り換えるときも、割とスムーズに社員になじみました。
基本ルール
始業後は必ずoViceに入室してください。
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入室後は各自、所属する部署の割り当てられたスペースにアバターを移動してください。
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必要な時以外、マイクとビデオカメラをOFFにしてください。
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東京オフィスor各スペース中にいる際は速やかに連絡、返信が出来る状態にしてください。
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お手洗いなど少し席を外すくらいのときは取込中に変更する必要はありません。
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打刻ツールのステータスとoViceのアバターのステータスは合わせてください。
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スマホ使用時などoViceが自動でログアウトされる場合がありますので、打刻ツールはしっかり入力してください。
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私の勤める会社では、「監視しすぎないテレワーク」を目指しているので、常にビデオカメラをオンにする義務などはありません。話しかけても一定時間返事がない場合は、仕方ないと思うようにし、チャットで「後ほど連絡下さい」とメッセージを残します。
オフィス内の部屋名説明
東京オフィス | 本社出社時 |
第一営業部スペース・第二営業部スペース | 自宅にてテレワーク時 |
自宅外テレワーク | 自宅外でのテレワーク時 |
取り込み中 | 電話以外で至急業務対応中、10分以上の離席など |
電話中 | 電話で通話中 |
第一会議室・第二会議室 | テレワークでの打ち合わせ(定員9名) |
第一MR・第二 MR(meeting room) | テレワークでの打ち合わせ(定員3名) |
会議室 | 本社会議室での打ち合わせ、他会議室が使用できない場合の打ち合わせ(定員12名) |
WEB会議中 | 他社とのWEB会議中 |
外出中 | 客先訪問、業務時間内の移動中(テレワーク→オフィスなど) |
離席する | 中抜け中。欄外に表示されます。 |
クラウドオフィスはほとんどの場合、オフィスの間取り図の絵があり、会議室や個室など部屋が複数存在します。各部屋の利用目的をあらかじめ定める事で、テレワークで仕事している最中も、画面を一目みるだけで、話しかけたい社員の状況を把握することができます。
例えば、会議室や取り込み中、電話中の部屋以外にアバターがある場合は、いつでも話しかけて問題ないというルールになっています。話している人たちの輪に、自分から入っていくことも可能ですし、話しかけたい人が会議室に入っているときも、チャットを利用すれば、会議中でもメッセージを届けることができます。
基本の運用ルールと各部屋に利用目的だけを決めて、全社員に通達するだけで、特に問題なく運用することができています。
テレワークでも雑談をしやすい環境を整える
クラウドオフィスはテレワーク時の社員同士のコミュニケーションを活性化できるサービスです。しかし、ただクラウドオフィスを導入しただけでは、社員同士で話しかけやすくなるわけではありません。共通のルールを作り、いつ話しかけても良いという状態を、一目でわかるようにルール化しておけば、各自で「今、話しかけてもよいか?」を迷うこともなくなります。
クラウドオフィス内で話す事が増えれば、よりコミュニケーションが活発化しますし、雑談も必然的に増えていきます。雑談から生まれるアイディアもありますし、社員の孤独なストレスも軽減することができるでしょう。ストレスを減らす事で、長く働いてもらうなど継続した雇用も見込めます。
クラウドオフィスの運用ルールを定める事で、クラウドオフィスの最大の魅力であるコミュニケーションを活性化し、新しい働き方であるテレワークを継続できる環境が整えられるのではないでしょうか。